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大人に甘いお土産やお茶菓子を勧めるのはお互いにやめませんか?



山路を登りながら、こう考えた。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

(夏目漱石 草枕より)


甘いお菓子を食べるとほとんどの人は嬉しく、楽しくなりますよね。

糖質摂取を控えていても、ふとしたきっかけで口にするスイーツのおいしいこと、否定いたしません。

お土産のスイーツをいただきながらの職場のティータイム、コミュニケーションを計る上でもとても良い時間だと思います。


ですが、そろそろそういう習慣そのものをやめませんか?

甘いものを食べると健康上の問題を起こす人は日本人の成人の40%程度いらっしゃるはずなのですから。





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<糖尿病予備群が減ったのは糖質制限先駆者たちのおかげだと思います>


日本人全体に占める2型糖尿病あるいは糖尿病予備群の割合ですが、2010年代に入って少ししてから次第に下がってきました。

それに貢献しているのはまちがいなく糖質制限というダイエット方法であり、釜池先生や江部先生を始めとする先駆者の開業医たちのおかげだと思います。


私は2011年東日本大震災の後の節電で職場のエレベーターが使えなくなり、階段の上り下りがしんどいので減量を始めました。

何の本も見ることなく、とりあえずは昔に見たアトキンスダイエットやサザンビーチダイエットの方法を思い浮かべながら糖質制限をやったのですが、それで痩せる痩せる。

面白いぐらいに痩せて、半年で16kg減量しました。


減量し終わってから江部先生の本を本屋さんで読んで、

「わあ、めちゃくちゃわかりやすく書いてある~!こんな本が何年も前から出てたんだあ!」

と、びっくりしたのを覚えています、新大阪駅のエキナカの本屋さんでした。


今や本屋さんの健康本のコーナーに行くと、半分ぐらいを「糖質摂取・制限」に関する本が占めています。

糖質制限がすっかり当たり前になり、糖質制限を否定していた人たちも声を潜めてきました。

高田先生みたいにいまだに反糖質制限を突っ走るお茶目なおじいちゃまもいらっしゃいますけど(笑)。


ということで、糖質制限が広まったから糖尿病予備群が減った、それは間違いないと思います。



<糖質と2型糖尿病の関係を理解していない人がまだ多数派>


さてその一方で、糖尿病と糖質摂取や食後高血糖との関連性を理解できていない人が大勢いらっしゃいます。

生活習慣病が増えたのは食の欧米化、つまり飽和脂肪酸の食べすぎが原因であると思いこまされた人があまりにも多くて、いまだに脂っこい肉の食べすぎだから糖尿病になるんだと真顔で言う人がたくさんいます。

そして、そういう人は

「伝統的な和食や和菓子は健康に良いのだ。」

そう信じてやみませんよね。

現代社会における伝統的な和食や和菓子がいつのころから始まっているのか、米を大事にする考え方がいつ誰によって擦りこまれたか、その辺のことを考えてみれば間違いであることに気付くはずですけど。


で、そういう方々は職場にお土産のスイーツを持ち込んで共有テーブルに積みあげておくことをよいことだと思いこんでいます。

それを食べようとしない人のデスクまで行って、わざわざ

「美味しいから味が落ちないうちに食べてみてよ。今なら晩御飯まで時間あるし、ぜひ食べて。」

そんな期待に満ちた目で見られたら口にいれざるを得ませんよねえ。


わたしもフリースタイルリブレを装着して血糖値チェックしていますが、お土産でいただく程度のお菓子を一個食べた時の血糖値の上昇、とんでもなかったりします。

平気で160とか超えるし(;^ω^)。


お菓子をお勧めするのはその人を病気に追いこむ行為である(かもしれない)

みんながそれに早く気付くべきです。

食べたくないのに角が立つからと断れない人に無理やりお奨めしていないか、一度よく考えてみてくださいねええ。



<人付き合いよりも自分の体との付き合いを大事に>


さて、この話を〆るにあたってもう一つ書きます。

食べたい人が食べて高血糖になるのはその人の自由です。

お付き合いを大事にして、自分の体への悪影響を我慢して甘いお菓子をいただくのもその人の自由です。


でも、お付き合いって、とくに仕事上のお付き合いってほとんど上辺だけのことですよね。

心から腹を割って話せる友人であれば、「いや、おれ今糖質控えてるから。」って断るのは難しくないですよね。

そしてそういう友人とは長く付き合えます。


でも、自分の身体、それこそが一生長く付き合っていく友人ではありませんか?

死ぬ瞬間まで自分と付き合ってくれるのは自分の体だけです。

そんな貴重なたった一人の大切な友人を大事にしないでどうしますか?


仕事上の付き合いなんて二の次三の次です。

自分の体と言う大事な友人にこそちゃんと向き合って、お付き合いしていきましょうよ。

素直に見つめてみてください。



・・・最後にもう一度、草枕。

茶色のはげた中折帽の下から、髯だらけな野武士が名残り惜気に首を出した。そのとき、那美さんと野武士は思わず顔を見合せた。鉄車はごとりごとりと運転する。野武士の顔はすぐ消えた。那美さんは茫然として、行く汽車を見送る。その茫然のうちには不思議にも今までかつて見た事のない「憐れ」が一面に浮いている。
「それだ! それだ! それが出れば画になりますよ」と余は那美さんの肩を叩きながら小声に云った。余が胸中の画面はこの咄嗟の際に成就したのである。

2017年10月26日 18:36

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コメント(12)

先生、お久しぶりです。

お茶菓子文化、悩ましいですよね。
私自身もそうですが、お土産と言えば甘いもの。
というか、それ以外にあまり選択肢はないですね。
今でも自分は食べないのに、お菓子をお土産に買ってしまいます。
この記事を読んで反省しました。
確かに、自分では気付いていなくても糖尿病予備軍の人は多いはずですし。
次回お土産を買う時は、何か模索してみようと思います。

それにしても、世は炭水化物であふれています。
今年、出産祝いのお返しはお米の詰め合わせ。
お中元はそうめん。
先日友人が送ってきたのはラーメンの詰め合わせ。
…( ̄▽ ̄)

草枕の冒頭部分はかっこいいですよね。

山路で思い出しましたが、山登りではなにかとエネルギー源として甘いものを薦められますよね。
8月に北アルプスの燕岳に登ってきたのですが、三分の2ぐらい登ったところに合戦小屋という小屋があって、そこで800円出すと西瓜が食べられるのです。
登山中だからと付き合いもあっていただきましたが、その後、頂上まで登る間に、それまで平気だったのに急に脚がつりだして、治っても、またつる、またつる、という感じで大変でした。
これは想像ですが、スイカを食することによって身体が冷えることと糖質制限中の体質変化で、こんなことになったのかなと思っています。

職場でも糖質制限してる宣言してますが、「終わったらお祝いでパーッと」とか言われますね、ダイエットじゃないから終わりはないのよと。
で、この前はわざわざ私だけの為にふ饅頭を。
私たちは桜餅、あなたはふなら大丈夫と思って買ってきたのよーって。
イヤイヤ、ふとは言え饅頭ですから甘いんでしょ?しかもあんこ入ってますよね?
彼女からしたら糖質=米?


なかなか色々難しいですね。

コメントいただきありがとうございます。

>これは運動負荷でグルカゴン分泌が促されて

グルカゴンの分泌は血糖値の低下により引き起こされると思っていたのですが、運動負荷がトリガーになって、先回りして?分泌されることもあるのですね。

私は登山中の行動食はいつも悩んで試行錯誤しているので、キリマンジャロなど高山登山の際に使用しているパルスオキシメーターのように針を刺さずに簡単に血糖値を測定できるガジットがあれば多少高価でも手に入れるんですけどね。

>・・・?フリースタイルリブレがまさしくそういう装置なんですけど??


あっ、それは知っていたんですが、私は針恐怖症?の気味があって、痛みとかではなくずっと針を刺しっぱなしの状態に耐えられるか、というところです。

パルスオキシメーターだと、詳しくは知りませんが、指に光を当てて、通過ぐらいでSPO2を判定しますよね。
そんな感じの手軽さで計測できればいいな、と思いました。
まぁそんな都合のよいものはないとは分かっています。。

早く実現されるといいですね。10万円ぐらいなら買っちゃうかもです。

糖質制限者あるあるで、会食とかツアー旅行の食事の場面で、糖質を避けていると面倒くさいことになる、というのがありますが、「私は糖尿病じゃないけど食後高血糖で180を超えることがあるんです」などと言えば、なんとか切り抜けられそうです。
まぁ最近は糖質制限が広まってきたせいか、理解する人も増えてきているようですが、まだまだ、という感じがしていますので。

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